恋する惑星

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アラカン恋愛 14年上の彼 #2 ”山男に惚れてはいけないのは本当だった”

 

 

シャッターチャンスを逃したくない私は慌てて車から走り出て端に向かった。

すると、止めてあった車のドアが開いて一人の男が出てきた。他の車からもそれぞれ男たちが出てきて、そろそろと歩いてきた。

 

歳は60代ぐらいのおじさん連中で、その中の1人がカメラを持っていた。「ああ、私と同じ朝焼け狙いか。」

 

男たちが出てきたことで一瞬躊躇したが「おはようございます」と挨拶をして、意識は昇ってくる太陽に向けていた。

 

何枚か写真を撮ったが、期待したほどの景色ではなかった。だが心は朝日を見れたことで満足していた。

 

帰ろうとするとカメラを持った男が話かけてきた。

「あの木がなかったらもっといい写真が撮れるんですけどね。」

 

あ~面倒くさい、話しかけてきたか、と思ったけど相手は3人いるし、よこしまな男たちだと怖いので

「本当にそうですよね、残念です」

 

と適当な返事をして立ち去ろうとしたら

「僕たちは昨日の夜から来ているんですよ、星を見て一杯やろうということで集まったんです」

と、聞きもしないことを言ってきた。

 

ああ、アウトドア派のおやじたちか、と思って車に目をやるとハイエースジープとかで、よく見るとバイクも止めてある。

 

「これからコーヒーを淹れるのでよかったら飲んでいきませんか?」

とカメラ男が言った。

その時初めてまともに顔を見た。眼鏡をかけた人のよさそうな顔立ちでいい声をしていた。

 

悪い人たちではなさそうだったので誘いに乗った。正直、起きてすぐに来たので何も口にしていないし、コーヒーは魅力的だった。

 

車のところまで戻るとメガネ男はハイエースバックドアを開けて、中からゴソゴソとテーブルらしきものや何やかやと出し始めた。

 

丸見えになった車の中を見て驚いた。後ろの座席が全部取り除かれていて半分はベッドに、もう半分にはバイクが積み込んであった。

 

「すごい…」

車内をこんな風にカスタムしている車を初めてみた私は、思わず声に出してつぶやいた。

 

「僕らは集まっては山に登ったりツーリングしたしする遊び仲間なんですよ。」

そう言いながら、コンテナボックスから水が入ったボトルやガスボンベ、バーナー(と言うものらしい)や小さなヤカンなどを取り出してテーブルに並べ湯を沸かし始めた。

 

 



 

ラカン恋愛 14年上の彼 #1”山男に惚れてはいけないのは本当だった”

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